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ペットボトル大根チャレンジ!<最終回>~1本の大根ができるまで

6/2から2カ月間、「ペットボトルで大根を育ててみよう」というチャレンジを行い、8回に渡って経過をご報告してきました。最終回となる今回は、ペットボトル大根を育ててみて、改めて清流だいこん®について感じたことをまとめました。

これまでの記事です。

みんな「土が一番大事」というけれど

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大石農産をはじめ、リアルやメディア、ネットなどで見かける農家の方は、皆さん口をそろえて「土が一番大事」と言います。その意味について、これまで深く考えたことはありませんでしたが、今回初めて大根を育てて「土が大事」だということがよくわかりました。

大石農産の畑の土は重く、買ってきた土はびっくりするくらい軽かったことから、一口に「野菜用の土」といっても構成物が全く違うことがわかりました。買ってきた土には雑草が生えないというのも初めて知りました。
また、同じ大石農産の土でもペットボトル大根の土と畑の土では柔らかさが違いました。畑のほうがふかふかと柔らかいのです。理由を大石社長に聞いたところ、耕したり肥料をまいたりならしたりという作業を、播種前に5回も行っているというのです。播種初日は実は初日ではなく、畑作業としては6回目というから驚きです。

実は土づくりは前年の収穫後に、専門機関へ土壌分析を依頼するところから始まっています。大石農産はすべての畑について土壌分析を行い、畑によって適切な量や配合を計算した「レシピ」を毎年作っているのです(関連ブログ:土を制する者は収穫を制す)。専門家である農家さんでも、畑ごとの分析や対策を怠ってはいけないのですね。いや、専門家だからこそ怠ってはいけないのですね。
ペットボトル大根を育ててみて、質や量、固さなど「土の総合力」を上げることが最も大事なのだと実感しました。本当に「土が一番大事」

「芽が生えそろう」ってすごいこと

発芽編で、同じ播種日でも発芽のタイミングがちょっとずつ違うということがありました。種をまく深さ(播種深度)がバラバラだったためですが、畑でこのようなことがあると大変です。発芽のタイミングがずれるとその後の生育にも差が出るため、機械での収穫に支障が出るからです。何より今年の春のように干ばつの場合、深さが数ミリ浅かったために、一列まるごと芽が出ないという悲劇もあり得るというのです。

取材中、芽が生えそろっている畑を見た大石社長が「この風景って実はすごいことなんだ」とつぶやいたのが印象的でした。何十年も大根を作っているプロでも、芽が生えそろう感動はひとしおなのです。

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芽が生えそろった畑

植物は思っているよりずっと繊細

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チャレンジ続行不可能かと思われたトラブル編では、植物って実は思っているよりずっと天候や環境の変化に敏感だと実感しました。わずか1日であわや全滅という事態に陥ったり、肥料を与えると3日で復活したり、瀕死の株が置き場所を変えただけで復活したり...。いつも変わらず青々と茂っているように見える畑も、きめ細やかに目をかけ手をかけ時間をかけ、たくさんの配慮をして成り立っているのだと思いました。
逆に、タイミングよく水や肥料、防除などを行うと、それに応えるように生き生きと育ってくれる大根に愛情や手ごたえも感じることができました。

1本の大根ができるまでのドラマ

ペットボトル大根では、土づくりが終わった畑の土をもらい、種や肥料は分けていただいてのチャレンジでした。大石農産ではもちろんこの部分も自前で行っているため、分析機関、種、肥料、農薬、マルチなどの資材など、たくさんの選択肢から選ばなくてはなりません。さらに農業機械や整備をどこにお願いするのかも。
よい作物を作ろうと思えば「去年と一緒でいいや」はあり得ず、毎年検討する必要があります。

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ペットボトル大根は、収穫後にその場で食べて終了ですが、当然ながら大石農産は収穫して終わりではありません。自社選果場で品質を厳しく選別してサイズごとに箱詰めし、すぐに大型冷蔵庫で保管。チャーターしたトレーラーで関東地方の市場に出荷します。大根を入れる段ボールの印刷や手配、トレーラー会社や運転手との調整、市場関係者やバイヤーなどとの折衝も行います。
通年雇用の正社員をはじめ、収穫時期にはアルバイト・パートの方を14,5人採用します。そのため社労士や税理士、銀行などとのお付き合いも必要です。「農家」というとのんびり土いじりしているイメージですが、実は実業家(しかも思っているより大規模)という一面もあると知りました。

これらすべて、責任と誇りをもって清流だいこん®を世に送り出すために必要なこと。1本の大根ができるまでには、畑だけでなく周辺でもさまざまなドラマがあり、想像以上に多くの人が関わっていることに気づきました。

その価格、適正?

長い時間と多くの手間をかけた大根が店先に並ぶわけですが、では消費者である私たちはどのような選び方をしたらいいのでしょうか。

ここに大きさは同じで、品種も一緒の大根が売られていたとします。一方は100円、もう一方は200円。
さてどちらを選びますか?

今までの私なら、何も考えずに安いほうを買っていました。しかし今回のチャレンジで、適当に種をまいて水をやっていたのでは、売り物になる大根は育たないことがわかりました。
つまり目の前の大根は、おいしくするためにどのような対策をしているのか?それこそが値段の差ではないか?と考えるようになったのです。

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大石農産では清流だいこん®の「栽培履歴」をホームページ上で公開しています。ここには大根の品種、播種・収穫日、使用した肥料、農薬の使用回数などが書かれています。
これはつまり、生産物に対して責任と誇りを持っているという証です。自信をもって「どうぞ見てください」と言っているわけですから。もしこれが200円の大根なら、選ぶ理由になると思います。

大石社長は「清流だいこん®の出荷用段ボールにロットナンバーがスタンプされているので見てほしい。スーパーによっては段ボールがないかもしれないが、売り場担当の方にぜひ聞いてほしい。産地や栽培方法で選ぶ消費者が増えれば、お店もバイヤーも、もちろん生産者も育つ。消費者が育てるんだという意識で、ぜひ『どうやって育ったのか』について興味をもってほしい」と熱く語りました。

今回のペットボトル大根は、やってみたら面白いかも!という興味本位のチャレンジでしたが、終わってみたらたくさんの気づきがありました。貴重な機会をいただき、ありがとうございました!
みなさんもチャレンジしてみてはどうでしょうか。工夫次第では辛くない大根ができるかもしれません。

おまけ

8/7、残りの大根を収穫してみました。
左から大石農産の畑の土で育てた②と③、買ってきた土で育てた④です。大きさは1週間前とほぼ変わりませんでした。

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